DRを使おう(前編)

 こんにちは、kzyといいます。FMCしかできない者です。

 最近のFMC界隈では、専らDomino Reduction(以下DR)なるものが使われ、コンピュータや神でなくとも平均25手前後を出すことが可能(?)になりました。実際私は(DRを身につけるまではDNFしまくりましたが)DRのおかげでao12sub25することができました。それほどまでに、DRは非常に強力なテクニックであり、現在のFMCerには欠かせないテクニックになっています。

 しかし現在、日本語で書かれたDRの解説は非常に少なく、DRを学ぶには、英語で書かれたドキュメントを読むことを強いられます。そこで、このブログを開設して解説してみようと思ったのです(激寒)

 追記:日本語で書かれたDRについての記事は、Ramiさんによるアドカレ記事(内容が簡潔なので長い記事を読みたくない方にはおすすめ)、たむそんさんのブログ(DRに使われるテクニックや思考過程中心。DRに慣れてからがおすすめ)などがあります。こちらも併せて読むと、より一層理解が深まると思います。

 ただ、英語を読むことが苦ではないのならこちらの素晴らしいDRの解説を読むことを強くおすすめします。

 この記事を読むにあたって、まず基礎知識として、FMCのブロックビルディングで使う様々なテクニック(NISSやインサーション、EOなど)は既知のものとして扱います(ブロックビルディングで平均して40手を切れる程度には、慣れていて欲しいところです)。ナニソレオイシイノ?という人は、以下の記事をお読み下さい。

http://wrcc.main.jp/commentary_fmc/fmc/index

↑FMC始めたらまずこれを読め(ふーみぃさんによる神記事)

https://uesyuu.com/blog/?p=28

↑EOについての記事(AsR holderうえしゅうさん(神)によるEOについて詳しく書かれた記事)

 また、以下の解説では標準配色を使います。その他の配色の方は、やや面倒ですが、その都度読み替えて下さい。


※このブログは、不定期で修整やreplaceが行われたり、内容がインサートされたりします。また、簡単に修整がきくので、不明な点や、分かりにくい点があれば、気兼ねなくツイッターやコメントまでご連絡下さい。

DRとは 

 (追記:DR自体が何なのかということについては、Ramiさんによるアドカレの記事が丁寧で分かりやすいと思います)

 DRとは、ぐちゃぐちゃのキューブを、[U D R2 L2 F2 B2]の回転だけで揃えられる状態にすることです(ただし、UやDはそれぞれを連続で使うことで、180度回転や反時計回りの90度回転として使用することが可能です)。

 そして、この[U D R2 L2 F2 B2]の回転を、ドミノムーブと言います(以下、DRムーブと表記)。試しに、揃ったキューブを、DRムーブだけで適当に回してみてください。視覚的にすぐ分かると思いますが、DRされたキューブ、すなわちDRムーブだけで揃えられるキューブは、U面とD面がそれぞれ対面色(標準配色なら白と黄)のみになり、中段(以下E層)には中段のエッジが置かれた状態になります。

 ちなみにこれは、3x3のキューブを、Rubik's Dominoという、3×3×2のパズルと見做して(reduction=還元して)解くことが出来ることから命名されています。

 ⚠注意:ここまで、説明のためにU面とD面が対面色のみになるDR(U-D軸DR)についてのみの説明をしましたが、実際のFMCでは、U-D軸DRの他にも、R-L軸DR(R,L,U2,D2,F2,B2だけで揃えられる状態)とF-B軸DR(F,B,U2,D2,R2,L2だけで揃えられる状態)も同様に使うことができます。


FMCにおけるDR

 FMCにおける"DRソルブ"とは、多くの場合以下の2段階で行われます(カッコ内はあくまでも目安です)。

①DRの状態にする(6~14手)

②色々なテクニックを使って完成させる(8~18手)

 今回は、DR初学者が最も苦しむであろう①を解説していきます。ただし、これから紹介する内容は、私個人が、最も頻繁に使われていると考えているものですので、多少の主観や欠陥が混じっているかもしれません。


DRまでの道筋

 人間に可能な(←これ大事)DRへのアプローチは、多くの場合、以下の4段階を通ります。

①EO(2~5手)

②DR-◯e◯c(1~3手)

③DRトリガーにセットアップ(3~6手)

④DRトリガー(1~4手)

 ここで、これから用いる用語の説明をします(いくつかは自分の説明の都合上、一般的でない用語が含まれています)。まず、②にあるDR-◯e◯cとは、例えば以下のように使います。//の右側に書かれているのは、解答についてのコメントです。

scramble:R' U' F D' F' R' D2 B2 R' F2 D2 B2 R2 F2 R U2 R B' U' R2 B2 U2 R' F2 R' U' F

F R2 F // EO(3/3)

D R' // DR-2e4c(2/5)

 スクランブルをして、上記の5手を回した後のキューブをよく見て下さい。U面とD面のほとんどが対面色(=白と黄色)でおおわれ、E層のエッジが既に3つもE層に入っています。ここで、UFR,UFL,DFL,DBLの4つのコーナーと、RF,DLの2つのエッジを無視すれば、DRが完成したことになります。言い換えると、DRの状態からコーナー(Corner)4つとエッジ(Edge)2つが欠けている状態なので、これをDR-2e4cと書きます。

 それでは、以下の状態はDR-何e何cでしょうか?(スクロールしないで考えてみましょう)

scramble:R' U' F B2 R D L2 F' R2 D2 B2 L2 B2 R2 U2 F' R2 U L' F D R' B L R' U' F

U' R' D' B // EO(4/4)

U D2 R // DR-◯e◯c









 正解は、2e3cです。このような、DRから数個のピースが足りない状態にするのが、DRの最初のステップです。そして、その足りなかったピースを正してDRを完成させるのが、DRトリガーというものになります。

 先程のスクランブルの続きをみてみましょう。

scramble:R' U' F B2 R D L2 F' R2 D2 B2 L2 B2 R2 U2 F' R2 U L' F D R' B L R' U' F

U' R' D' B // EO(4/4)

U D2 R // DR-2e3c(3/7)

D // setup(1/8)

L D' L' // DR trigger(3/11)

 最後の3手は、DRトリガーの一つです(F2Lのインサートにも似てます)。この3手により、DR-2e3cの、2eと3cが矯正され、DRが完成します。つまり、L D' L'というこの3手は、2e3cのDRトリガーということになります。

 勿論、他にも色々なDRトリガーがあります。非常によく使われるのが以下のトリガーです。

scramble:R' U' F D' B' L2 B2 D2 U2 L B2 R' U2 L2 B2 U2 L' B R B2 U' R B' F' R' U' F

F R2 D' F // EO(4/4)

R' // DR-4e4c(1/5)

D' U2 L2 D // setup(4/9)

L' // DRtrigger(1/10)

 このように、RやLといった手順は、4つのエッジと4つのコーナーに影響するDRトリガーになるのです(詳しいセットアップ等のやり方は後々説明します)。

 また、以下の解説では、DRにおいて対面色のみになる面がU面とD面のものをUD軸DR、同様にR面とL面になるものをRL軸DRと呼びます。 FB軸のEOからはFB軸のDRだけが、RL軸EOからはRL軸DRだけが作れないので、少しややこしいかもしれません

 そして、その対面色のみになる面(2つあります)を、以下の記事ではDR面と呼びます(これはあまり一般的な用語ではありません)。DR面に並行な層を、どのDRかによらずE層と呼びます。例えば、FB軸DR(=F面とB面が対面色のみになるDR)では、S列がE層になります。

 なんとなく、DRがどのようなものか分かって頂けたでしょうか。流れがつかめたらいよいよ細かな説明に入ります。


EO

 DRの最初のステップはEOです。これについて必要な知識は特に増えませんが、BB(=Block Building)で使うEOとは少し目標が違います。BBでは、EO後にペアやブロックが多いものが、良いEOとされてきましたが、DRにおいては、EO後に、

①E層のエッジのいくつかが既にE層にある

②多くのコーナーの向きが既に合っている

これらを満たすものが、良いEOとなります。

 実際のスクランブルで考えてみましょう。

scramble:R' U' F R2 U' R2 F' R2 F' D2 R2 B' R2 D2 F' U2 F U' F D' U L D R' U' F

R' L2 F'//EO(3/3)

 これはとても良いEOです。3手で済んだだけでなく、既にDR-4e4cの状態になってます。例えばここからR2 L2 U' R2 U D' L等とすると、DRが完成します(詳しいことは後程)。

scramble:R' U' F U R' U2 B2 D2 F L2 B' D2 R2 D2 F' U' B2 F' R' D2 R2 F D' R' U' F

U F' R2 D' B//EO(5/5)

 こちらのEOは5手も掛かった上、コーナーの向きがばらばらで、E層に入ったエッジも1つしかありませんが、R'と回すことで、DR-2e4cという良い状態になります。例えばここからU B2 D L' U2 Lとすると、DRが完成します(最後の3手は2e4cのDRトリガーです)。

 よく使われるDRトリガーは、2e3c、2e4c、4e4cの3つなので、EOを選ぶときは、この3つになるべく近い(=そこまでの手数がなるべく少なく収まる)ものを探すようにしましょう(勿論その後の繋がりも考慮して決めますが)。


⚠重要:EOの方向は3方向あり、それぞれから2通りのDRへ進むことができます(例:FB軸EOからなら、UD軸、RL軸DRへと進むことができます)。以下の記事では、RL軸DR(R面とL面が対面色だけになるDR)やFB軸DRも例として使いますので、ご注意ください。また、インバースでの解答はカッコ内に書きます(NISS等についてよく知らないかたは、上記のURLを先にお読み下さい)。


DRトリガーまで

 先に言っておきます。ここから先は言葉で表現するのがとても難しいです。つまり、たくさん経験を積んで、DR独特の「勘」を身につける必要があります。そのため、悪い記録が出てもめげずに、繰り返しトライするのが最短の道だと思います。また、一時間の制限時間を設けずに、満足するまで行う練習も、有効なものだと言われています。

 では本題に入ります。先程述べたとおり、頻繁に使われるDRトリガーは、2e3c、2e4c、4e4cの3種類です。具体的には、

R U' R, L' U L, R U R, L' U' L (2e3c)

R U2 R, L' U2 L, R' F2 R, L F2 L (2e4c)

R, L (4e4c)

が非常によく使われます。最後のRやLは、R'やL'にしてもDRには影響しません。

 実戦ではEOの後、少ない手数でDR-◯e◯cにして、それからDRムーブだけを使って、トリガーの形にセットアップしていきます。ただし、EOを崩さないムーブしか使えないので注意してください。

 では実例を交えて、どのように考えればよいかを追っていきます。

 DR-2e3c

 正直、このケースが一番言葉で説明しにくいです。先に2e4cや4e4cのケースを読んでもいいと思います。様々なFMCerの解法やその解説から、セットアップの手法を学ぶのが、一番近道でしょう。

 では、実例を見ていきます。

scramble:R' U' F U2 R D L' F2 L' U2 F R U' L2 U' F2 R2 F2 U' B2 R2 U2 R' U' F

B' U2 R' B' // EO(4/4)

L' D // DR-2e3c(2/6)

R F2 L' // setup(3/9)

D L' D' // DRtrigger(3/12)

 このケースでは、RL軸DR(RL面が赤と橙だけになるDR)を使っています。

 EOを揃えた後、FB面を軸として、キューブ全体的を時計回りに90度回転させてみてください。奥に緑-白エッジを中心にした、細長いバーが見えるでしょうか(対面色を区別しないで見て見ると、赤と橙を底面に、横に長い1x1x3の直方体があります)。このようなバーがあるときは、1~3手ほどで多くのコーナーとエッジをDRに合う状態にできます。

 このケースでは、(キューブを元の向きに戻したときの回転で)L' Dとすると、新たに3つのコーナーの向きが揃います(RL軸DRを作ろうとしていることに注意)。結果、6手でDR-2e3cが出来上がりました。

 続いて、DRトリガーにセットアップしていきます。2e3cの3手のトリガーは、いずれもF2Lのペアをインサートするときと同じ動きをします。したがって、コーナーとエッジの位置関係を、F2Lのペアのようにする必要があります。

 今回の例では、L' Dの後、R F2とすることで、赤青白コーナーと黄青エッジがF2Lペアのようになり、L' D L' D'とインサートすることでDRが完成します。

 繰り返しになりますが、DRトリガーまでのセットアップは、言葉で説明するのは難しいです。何度も練習したり、たくさんの解答解説を見たりして、感覚を身につけて下さい。慣れてくると、ケースを見ただけで大体何手でセットアップできるかが分かるようになります。


 DR-2e4c

 まず実例を。

scramble:R' U' F R2 U2 F2 U2 F' D2 R2 B2 D2 R2 D B' U' L B' D R2 D2 R' F' R' U' F

R2 D2 B D' // EO(4/4)

L' B // DR-2e4c(2/6)

R2 D2 R2 L F' U2 F' // DR(6/13)

(F' U2 F'がDRトリガー)

 UD軸EOを揃えて、RL軸DRを作っていきます。2e4cのケースでは、E層に入っていない唯一のエッジ(上のケースでは緑白エッジ)を挟むように、細長いバーのようなもの(上のケースでは赤または橙を底辺とした、1x1x3の直方体のようなもの)と、それに並行なもう一つのコーナーを用意します。何を言ってるのかわかりにくいので、上の例で説明します。

 R2 D2 B D'としてEOを揃え、L' Bとすると、RL軸DR-2e4cとなります。続いて、唯一残ったE層のエッジ(ここでは緑白エッジ)の周りに向きの合っていないコーナーをくっつけて、バーをつくります。上の解法では、R2 D2とすることで、緑白エッジのとなりに、赤白青コーナーが来て、バーができています。更に、もう一つの向きの合っていないコーナー(橙白緑コーナー)が、バーの横に並行なむきで並んでいます。このように、E層のエッジ一つを含むバーと、それに並行な向きを向いたコーナーができると、ほぼセットアップ完了です。ここから、R2 Lとしてセットアップし、B' R2 BまたはF' U2 FとしてDR完成です。

 ここで注意しなければならないのは、E層における、E層のエッジの入っていない場所です。上のケースでは、L' Bのあと、L2 U2としても理想の形ができますが、E層のエッジの場所と向きが合っていないため、上手くDRにすることができません。

 これは、他のトリガーや、DR後のソルブについても言えるのですが、DRにおいて、U2とD2とU DとU' D'は同じ動きをします(E層を無視すれば)。

 言葉だけでは説明しにくいので、上のDRからのソルブをみてみます。インバースにスイッチして、次のようなスケルトンが見つかったとします。

 (B2 D2 R' F2 R' L2 F2 D2)//2e2e

 ここで、たとえば一つめのR'をR'wにする(つまりL'にして、その後U2 R' L2 U2 F2とする)と、最後に残るE層(ここではM列)のエッジの場所や組み合わせが変わるのが分かるでしょうか。このように、DRムーブだけを使ったソルブでは、動かすDR面の選び方で、DR面には同じ影響を及ぼしつつ、E層にだけ異なる影響を与えることができるのです。

 ちなみに上のスケルトンでは、

 (B2 D2 L' U2 R D2 R L' D2)

とすることで、全体として1手ふやしただけでキューブをそろえることができます。

 このように、E層との噛み合いで上手くDRトリガーがつかえなくても、数手戻ってDR面の動かしかた(=選び方)を変えることで、トリガーを正しく使えることがあります。

 DR-4e4c

 このケースは非常によく使われます。DR前の状態としては、向きや位置が合っていないコーナーとエッジの数が中央値であり、しかもトリガーが1手なので、安定した手数でDRにもちこめます。

 では実例です。

scramble:R' U' F L2 R2 F D2 F' U2 B U2 L2 U2 L2 U2 L' U R F L2 D' F L2 F' R' U' F

U R' B L//EO(4/4)

R2 D F2 B2 U' F'//DR(6/10)

 DR-4e4cのケースでは、上下に2つのバーをつくることと、E層のエッジが入っていない場所を揃えることが目標となります。

 上のケースでは、ラッキーなことに、EOを終えた時点でDR-4e4cとなっており、ここからDRムーブを使ってセットアップしていきます。

 UFエッジの左には既に一個のコーナーがくっついており、R2とすることで一つめのバーが完成します。その後、D F2 B2として2つ目のバーが完成し、U' FとすることでDRが完成です。

 また、このケースでは、

 U L2 R2 D' R2 B

としてもDRが完成します(これは少し見つけるのが難しいかもしれません)。この解法のコンセプトは、やはり2つのバーをつくることです。ここでは、1手で一気に2つのバーができるパターンに持ち込んでいます。

 また、これと本質的に同じ方法では、たとえば

 D F2 B2 U' L2 F

としても、U面とD面への作用は変わらず、E層だけが異なるDRができます。これは、2e4eのところでも触れましたが、DR面の選び方でE層への変化が現れる例です。実際に揃ったキューブを用意して、片方の逆手順をした後、もう片方をやってみると、E層だけが変化したことが分かると思います。


 DRトリガーについては、こちらにある程度まとめておきましたので、参考にして頂けると幸いです。

 まとめ

 一応これで、DRまでの道筋は一通り終わりです。慣れてきたら、一度のソルブで12手以下のDRが複数見つかるようになります。NISSやsingle insertion等を駆使して、安定して少ない手数のDRをみつけられるようになりましょう!

 後編はこちらです。

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